に投稿

命を守るための「子どもの救命法」 vol.1

今回の専門家

日色 幸生 氏
フリーランス救急救命士

プロフィール

私はフリーランス救急救命士をしています。フリーランス救急救命士というのは、聞き慣れない言葉だと思いますが、もともとは千葉県の消防署で23年間消防士、救急救命士として勤務していました。現在は、独立して救急救命士としてフリーランスで活動しています。以前は、消防署の仕事として、一般の方に救命法、心肺蘇生法などをお教えしていましたが、その仕事とは別に子育て中のお父さんお母さんたちに子どもの救命法を伝える活動をライフワークとしてやっていました。その活動をもっと自由に、もっと多くの方に伝えていきたいということで、いろいろと制限がある公務員という枠を飛び出して、消防署を退職しまして、2020年の9月から独立してフリーランス救急救命士として活動をしています。

今の主な活動としては、子どもの救命法を子育て中のお父さんお母さんたちに教えていくという形でやっていますが、その他に、ちょっと変わったお仕事として、ドラマの救急隊が出てくるようなシーンの監修などもしています。

知っているか、知らないかで命を左右する「子どもの救命法」

現在、特に私がお伝えしているのは、「子どもの救命法」です。例えば、子どもが突然意識を失って倒れたり、大きなけがをしてしまった場合に、その場にいる親がきちんと対応できるか、できないかで子どもの命というのは本当に大きく左右される場合があります。子どもの救命法を事前に知っているか、知らないかによって、実際にやれるか、やれないかが決まってくるので、「知っていれば子どもを助けることができたのに」と親が後悔しないように、たくさんの方に救命法や応急処置の知識を知ってもらいたいと思っています。

特に心肺蘇生法は知っておいてもらいたいと思いますが、やはり講習を受けないと、どれぐらいの強さで心臓マッサージと呼ばれる「胸骨圧迫」をしたらいいのかもよく分からないので、実際に講習を受けてやってみてもらうのが一番いいかと思います。このような救命処置、心肺蘇生法などは、お近くの消防署や公共機関、役場などでも講習をやっている所がありますので、そちらにぜひ問い合わせてみてください。私自身もフリーランス救急救命士として子どもの救命法を専門に教えていますので、私のインスタグラム、「救急救命士日色」にアクセスして、直接メッセージを頂ければご対応できます。

命をつなぐ8分間

「命をつなぐ8分間」ということについてお話ししたいと思いますが、この「8分間」というのは、何の8分間だと思いますか?

これは、119番通報をしてから現場に救急隊が到着するまでにかかる時間が全国平均で8分間かかると言われています。それでこの8分間、救急隊が現場に到着するまでは、その場にいるお父さん、お母さんたちが子どものために救命法をするということがとても大切になってきます。例えば、心肺停止になって、心臓や呼吸が停止してしまった場合、大体1分たつごとに何もしなければ10%以上助かる確率が減っていくと言われています。ですので、救急隊が到着した8分後に処置を始めた場合は、もう助かる確率が本当に10%に満たないような状況になってくるので、その場にいる方がいち早く心肺蘇生法をやることがとても大事なのです。

心肺蘇生法を行うかどうかの確認方法は、まずは呼び掛ける、呼び掛けに反応がなかったら、呼吸を確認します。呼吸を確認して、呼吸が感じられない、もしくはしているかどうかちょっと分からない、迷った場合はもう心肺停止という判断で OKですので、この2つが当てはまれば、もう心肺蘇生法をしてください。まず、呼び掛けをして反応がなかったら、その時点ですぐ119番通報してください。

ただ、こういう場合は1人でその場にいるとなかなか焦ってしまったり、どうしていいか分からなくなってしまいますので、近くに誰かがいるのであれば、全てを1人でやろうとせずに、助けを求めることがとても大事になってきます。あとは119番通報すれば、その119番通報を受けてくれた指令センターの指令員が、いろいろなことをアドバイスしてくれますので、まずは119番につながることがとても大事です。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。