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庭の柿の木

庭に出て
「あー良い匂いだなぁ。」
なんて金木犀の香りを楽しむ頃、その隣にある柿の木にも柿がなる。
今年はなかなかの出来だ。
いくつかは鳥に食べられてしまうんだけど、大量になるから綺麗な実もたくさん採れる。

毎年秋になると婆ちゃんが剥いてくれて、僕に出してくれた。
「ほら、庭で採れた柿よ!甘いから食べなさい!」
「あー、うん、あんまり好きじゃないからいらねーよー。」
「あら、いやだ、こんなに甘いのに!」
まぁ小学生の年頃の男なんてそんなもんだ。

でも爺ちゃんも婆ちゃんも亡くなっても、この柿の木は毎年秋になると実をつける。
そして、僕は今まで興味もなかったのに、ハシゴに登り、柿の実を取って食べるのだ。
食べきれない分は近所に配ったりする。
「種が多いんですけど、甘いのでよかったら」
「わぁ嬉しい!お宅の柿甘いわよねぇ。ありがとう!」

一人で柿を食べてると、
「うーん、美味しいなぁ?。甘いなぁ?。」
なんて思いながら、少しだけ爺ちゃんと婆ちゃんの事を思い出したりする。
そして、思い出に浸りながらあの頃もうちょっと美味しそうに、喜んで柿を食べてあげたらよかったなぁ、なんて思うんだ。

柿の木を眺めてたら、小さなメジロが枝にとまった。
柿を探してるのかな?

もう無いよぉ、全部食べちゃったよ。
また来年おいで。
そうそう。この柿の木は僕と同い年なんだぜ。
僕が産まれた時に、爺ちゃんが植えてくれたんだ。
そうなんだ。
僕と同い年なんだぜ。

さて、僕は未来の子供に何を植えてやろう?
林檎もいいなぁ。琵琶もあるなぁ。柑橘系もいいしなぁ。
そんなこと考えると思わずニヤニヤしてしまうのだ。