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キャッチボール


正月の楽しみといえばお年玉!
お年玉を握りしめて玩具屋に行って福袋を買いに行く。
家に帰ってきて開けてみると、何日も思い浮かべていたものは何一つ入ってなく、だけどそれでは癪なので、これが欲しかったんだ!と自分に言い聞かせて満足してる自分を演じたりとかね。笑
その行程を終えると、父や祖父なんかと公園に出かけて凧揚げなんかやったりして。
寒くて指先なんか痛いんだけど、走ってると今度は暑くなったり。

一通り正月っぽいことを終えると、いつのまにか父とキャッチボールが始まる。
「おー!いい球だ!」
「じゃあ次はカーブだ!曲がった?」
「おー。少し曲がったぞぉ?」

弟と交代でキャッチボール。
父とキャッチボール。
言葉を交わしながらのキャッチボール。
楽しかったなぁ。

今年の正月。
じぃじになった父と、僕と弟と、そして弟の娘・息子の三世代で公園に行った。
最初は甥と姪とみんなで遊んでたんだけど、遊んでるうちに、父とのキャッチボールのことを思い出したんだ。

「なぁ、キャッチボールやらない?ちょうど車の中にグローブ入ってるんだよぉ。久しぶりだろぉ?前みたいにやろーよ。」
「おー?!キャッチボールかぁ。いいなぁ。やってみるか!」

父にグローブを渡し、軽くボールを投げた。
父がキャッチする。
父が僕に投げた。
『パチン!』
思ったよりいい球を投げる。
「おー!すげーじゃん!けっこう投げられるじゃん!」
「おー!そーだなぁー!意外と投げられるなぁ!」
そして、僕はさっきよりも少し強く投げる。
父がキャッチする。
「おー!!いい球だー!」

弟と交代。
「出来るかなぁー?超久しぶりだよぉ?」
父と弟がキャッチボール。
弟の投げるへなちょこボールが父のグローブに入る。
「おい!なんだぁその球はー!」
父も調子を上げてきた。
さっきよりもずっといい球を投げている。
投げてる父も弟も、そして見ている僕も笑ってる。

久しぶりだなぁ。この光景。
また僕の番だ。
父の投げる球を受けて、そしてそれが思いの外、強いのがなんだか嬉しい。
「なぁ。親父ぃ!キャッチボールさぁ、これから正月の恒例行事にしよーぜぇ。」
「おー!いいなぁー。来年はもっといい球投げられるようにするかぁ!」
「そーしよーぜー!やっぱりキャッチボール楽しいなぁ。」

僕は思いっきり父に目掛けて投げた。

『パシーン!!』

父のグローブに勢いよく入った。
痛そうにしている父はとても幸せそうだった。