に投稿

【防災インタビュー】コミュニティを守る「地区防災計画」vol.5

今回の専門家

金 思穎(きん しえい)氏
専修大学 人間科学部研究員
専修大学 社会知性開発研究センター客員研究員
福岡大学法学部 非常勤講師

「地域防災計画」と「地区防災計画」

「地域防災計画」というのは、従来の市区町村の法定の防災計画です。「地区防災計画」の制度においては、住民が主体となって地区防災計画の案を作り、それを市区町村に提案する形になっています。従来の行政主体の上からの防災、つまりトップダウン型の防災とは異なり、住民自身による、共助による防災活動の計画ということで、ボトムアップ型の計画とも呼ばれています。

この「地区防災計画」は、6年前に出来た新しい制度で、2013年の災害対策基本法の改正によって創設されました。この「地区防災計画」には、小学校区や町内会のような単位のコミュニティの住民の方が参加しており、コミュニティの住民の方々が主導しています。また、この制度は自由な制度設計になっています。例えば、この地区防災計画の地区の範囲は住民たちが自ら話し合って決めることができます。つまり小学校区単位のような広い地区でも、1棟のマンションのような狭い地区でも対象地区とすることができます。

地域の皆さんの中で、防災に関心がある方が主導して、自分たちのコミュニティに合った「地区防災計画」を立てておけば、災害時にいろいろと役立つことがあると思います。その内容についても住民自らが話し合って決めることができますし、住んでいる地域によっても災害の形が違うので、地域特性を生かした防災を考える事ができます。ぜひ住んでいる地域の地区防災計画について、調べてみていただければと思います。

コミュニティを守る「地区防災計画」

「地区防災計画」は法律に指定された計画制度としては珍しく、住民の主体性を重視した自由な仕組みになっています。その地区防災計画の作り方ですが、定型的な作り方があるわけではありません。多くの場合は地区の住民がまず集まって、過去の災害経験を調べて自分たちの地区の防災活動をどうしたいか、何ができていて、何ができていないかについて話し合いをします。

コミュニティの中を歩いて回って、コミュニティの地理的特性や災害の危険性を把握する、まち歩きを行います。また、この話し合いやまち歩きの経験を踏まえて、危険箇所、避難所、避難路などを記した防災マップを作ったり、発災時の活動の分担表を作ったりして防災計画を作っていきます。

地区防災計画は作ったら終わりではなく、実際に発災時に使えるように継続的に見直していくことが重要です。自分たちで作ったコミュニティでの地区防災計画を使って、実際に防災訓練や避難所運営訓練を行い、その経験を踏まえてさらに計画を修正していきます。このように計画を作って、実際に訓練をしてみて、それを修正し運用していくことが重要で、このような積み重ねで、自然にその地域の特性にあった「地区防災計画」が出来ていきます。

コミュニティが地区防災計画づくりに取り組むことは、住民の方が主体となって、いつ来るかもしれない未知なる災害に備えることになります。しかし、地区防災計画づくりには、いろいろな人が関係しますので、一緒に活動するのは簡単ではありません。計画が完成してからも、それで終わりではなく、継続的に災害に備えた防災活動が必要になります。

そういう意味では一朝一夕ではうまくいきませんが、コミュニティの人間関係づくりやそれを生かした地道な防災活動が、コミュニティの安心感を高め、いざというときに皆さまやご家族を救うかもしれません。防災とか、地区防災計画と言うと難しく聞こえるかもしれませんが、まずは、川沿いの地名のお話とか、お祭りのお話をきっかけに、ご家族やご近所の方と、防災についてぜひお話をしてみてください。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改訂して掲載しています。