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サンタさんありがとう

僕「今年のクリスマスはサンタさんに何を頼もうかなぁ?」
友人A「何言ってんだよぉ。サンタなんかいないよぉ?」
友人B「そーだよぉ。あれは親がやってるんだぜー」
僕「あ、あー。そーだよねぇ。まぁ知ってるけどさぁ」

僕(そっかぁ。みんなのところにはサンタさんは来ないのかぁ。僕はちゃんと毎日夜8時に寝てたから、まだサンタさん来るんだぁ。みんな可哀想だなぁ。)

なーんて本当に思ってた。
純粋な僕はけっこう大きくなるまでサンタさんを信じてた。
僕の家は夜8時には寝なくちゃいけなくて、でももう少し起きてたいんだけど、その度に「8時に寝ないとサンタさん来ないよ!」なんて言われてたから、土曜日以外はちゃんと8時に寝てたんだ。
だってサンタさん来ないと嫌だからね。
「土曜日はまだ寝なくて大丈夫?サンタさん許してくれる?」
「大丈夫よ。ちゃんとサンタさんに報告しておくから。そろそろサンタさんにお願い書かないとダメなんじゃない?ちゃんと考えたの?」
「まだだよぉ。早く書かないと来ないかなぁ?悩んでるんだよぉ。でもお手紙は書いておく。」

そう言って僕はまだお願いが決まっていない事を紙に書いて、机の上に置いて寝る。サンタさんがそれを読みに来る時は多分喉が渇いてると思うから、お茶も用意して。

でも、書いたその日にサンタさんは来ない。サンタさんだって忙しいのだ。
朝起きて机の上を見てみても手紙もお茶も残ってる。
でも今日は来るかもしれないと、毎日お茶を入れ直す。
毎朝確かめてみるけど、なかなか来ない。

それから何日かして机の上を見てみると、手紙が無くなってチョコレートが置いてあった。

「お母さん!!サンタさん夜に来たみたい!!お茶が無くなってる!!チョコレート置いていってくれた!!」
「あら!よかったわねぇ。じゃあ今年もプレゼント持ってきてくれるかもねぇ?」
「うん!」

『サンタさんへ。
ファミリーコンピューターをお願いします。
無理だったらラジコンをお願いします。
よろしくお願いします。
首藤洋介』

机の上にサンタさんへの手紙を書いて置いておく。
そして、忘れた頃にその手紙がなくなっていて、またチョコレートが置いてある。
僕のテンションは上がりまくる。

僕の両親は本当にうまくやっていたと思う。
さすがの僕だってサンタさんは親なんじゃないか?と疑う事もあった。
その度に弟と家中探し回った事もある。もちろん車の中も。
だけど見つからなかった。
そしてまた、サンタさんはイヴの夜にやってくるとは限らない。
ある時、テレビを観ていたらベランダの方から物音がしたと思い、部屋に行くとプレゼントが置いてあった。
慌ててベランダに出て見に行ったけど、サンタさんはいなかった。
多分たまたま風か何かで物音がしたんだと今になって思うけれど、
『本当に家の中に勝手に入ってくるんだ…』と思い逆に怖くなったこともある。

中学生になって、さすがに僕もサンタさんの正体をなんとなくわかるようになり、やがてサンタさんへの手紙も書かなくなった。
でも7つ下の妹の為に、我が家のサンタさんはまだまだ働いてた。
イヴの夜、僕が寝てるとドアを開ける音がして、僕は目が覚めた。父親がこっそり部屋に入ってきたんだ。
『あ、そうか。サンタさんだ。』
とっさに僕は寝たフリをかます。
サンタさんはゆっくり僕の顔に近づき、寝てるかを確認している。
そして、小さなプレゼントを置いていった。

翌朝、妹がサンタさんが来たと大騒ぎしている。
「お兄ちゃんはサンタさんに何をもらったのぉ?」
「うん?あー、カードゲームを貰ったよぉ。」

その目の前で父親は何食わぬ顔をして新聞を読みながら珈琲を飲んでいた。

『サンタさん、ありがとう』