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【コロナ禍の変化】下北沢で30年続くカウンターバー「ハーフムーンOK」

下北沢のBARハーフムーンOK_MV

2021年2月、新型コロナウイルスの感染拡大により、東京都に再び緊急事態宣言が出る中で、いま飲食店の経営者はどのようなことを考えているのだろうか。

今回は下北沢で30年以上の歴史を持つバー「ハーフムーンOK」のオーナーである小山 修(こやま おさむ)さんに、コロナ禍での営業、さらに同店の特長である日替わりマスター制が生まれたきっかけについて話を聞いた。

オーナー自らが店に立って時短営業

下北沢のBARハーフムーンOK_場所
スズナリの近くのビニールに覆われたお店の左隣にハーフムーンOKの入口がある

「ハーフムーンOK」は、茶沢通りに面した下北沢の小劇場「スズナリ」の近くにあるカウンターバーだ。

同店の特長は、オープン当初から日替わりマスター制を導入し、曜日ごとに異なるマスターがカウンターに立つ点にある。

専業のバーテンダーから本業を持つサラリーマン、ラジオパーソナリティなど、30年の歴史の中では多彩な面々がカウンターに立ち、下北沢の夜を盛り上げてきた。

夜の前半と後半で人が入れ替わる曜日などがあるため、現在は11名のマスターが同店で働いている。ちなみにお店に入るマスターは紹介で決まることがほとんどだという。

通常の場合は21時頃にオープンし、明け方まで営業をしていたが、2021年1月の緊急事態宣言を受けて、営業時間を16時~19時に変更。曜日も火曜日と水曜日、日曜日は不定期で営業を行っているという。また、現在は日替わりマスターには休んでもらい、オーナーの小山さんが自らカウンターに立って時短営業を続けている。

日替わりマスター制をいち早く導入

雑誌などで「元祖日替わりマスターの店」として紹介されることもあるハーフムーンOKだが、小山さんはその言葉を否定する。

「うちが最初ではないと思う。確かに業界的には早い方だったけど、どこかがやっているのを知っていたから取り入れたんだと思う」と当時を振り返る。

そもそも小山さんが、飲食業界に入ったのは偶然がきっかけだった。

小山さんは、学生時代に原宿にあるお弁当の総菜をつくる工場でアルバイトをしていた。その後、大学を卒業すると、証券会社に就職をした。

「いざ働いて1年ぐらいすると自分に向いてないことが分かってきた。このままでいいのかな、と思っていたタイミングで原宿の総菜工場のところにビルを建てるという話を大家さんから聞いて、『2階、3階でお店をやらないか』と誘われたんだよね。内装の費用は大家さんの方で負担するという話だったから、それならやってみようとなった。それが24歳の時でした」

小山さんは以前からの知り合いである神藤恒平さんに声をかけ、二人は共同経営者となり、ロックバー「ハーフムーン」を原宿にオープンする。

飲食店の経験がなかったため最初は苦労したものの、やがてお店は軌道に乗り、その頃に新たな物件の話が舞い込んできたという。

「前と同じ原宿の大家さんが下北沢のこの場所を紹介してくれて、もともと原宿のお店が終わった後に下北沢に飲みに来ることが多かったから、街の雰囲気も分かっていたので、よしやってみようと思ったんだよね。でも、基本は原宿だから下北沢と両方で働くのは無理だと思っていた」

そこで生まれたのが、日替わりマスター制だった。曜日ごとに異なるマスターがカウンターに立ち営業をするスタイルは、やがて人気を呼び、雑誌などにも掲載され、テレビの下北沢特集でも「個性的なバー」として取り上げられるようになった。

コロナ禍で感じる下北沢の街のやさしさ

下北沢のBARハーフムーンOK_オーナー小山修氏
ハーフムーンOKのオーナーの小山修さん

昨年には30周年を迎え、いつしか「ハーフムーンOK」は下北沢でも老舗の1つとなった。

だが、新型コロナウイルス の感染拡大によって休業や時短営業が始まり、小山さんの生活スタイルも一変し、色々と考える時間が増えたという。そんな小山さんにいま何を思うのかを聞いてみた。

「まさかこんな日々が来るとは思わなかったね。色々と大変なことが多いけど、それでも日替わりマスターも含めて、いま一緒に働いている仲間が本当に助けてくれた。あとは、昔のことを思い出すね。前に働いてくれたマスターへの感謝とか、あの時怒って悪かったな、一生懸命やってたのにな、とかそんなことを思い出したりする」と小山さんは語る。

同時に周りの人の優しさにも助けられたという。

「本当に大変だけど、この街の人の優しさに助けられました。特に忘れられないのは2020年の最初の緊急事態宣言の時。あの時は本当に大変で、常連だった隣町の池ノ上のバーのママが『飲みにおいで』と連絡をくれたけど、手元には数千円しかない。『お金が無くていけないよ』と言っても『おいで』という。重い足取りで行ってみたら、うちの状況を知っているママが、『うちはまだ大丈夫だから、あなたのお店が心配で、100万円用意したから、いつでも貸すよ』と言ってくれたんですよ。結局、まだ平気だったので借りなかったけど、あの時はお金よりもその気持ちがすごく嬉しかった」

平日の16時から19時の時短営業を行っているが、足を運んでくれるお客さんはいるという。
長く積み上げてきたお店の歴史、楽しい夜の記憶が人々をハーフムーンOKに向かわせるのだろう。

下北沢の景色は駅前再開発によりすっかり変わってしまったが、アットホームな雰囲気こそがこの街の変わらない魅力であり、その象徴といえるのが隣に座った人と気軽に話せるカウンターバーだろう。

興味をもった方はコロナ禍が落ち着いた頃に、ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。その時にはぜひ曜日を変えて何度か訪れてみてほしい。きっとあなたもお気に入りのマスターと出会えるだろう。

下北沢のBARハーフムーンOK_入り口

ハーフムーンOK

■住所
東京都世田谷区北沢1-46−1

■連絡先
03-3468-7942

■営業時間
21時~翌朝まで

※緊急事態宣言中は火曜日、水曜日の16~19時、日曜日は不定期で営業

■定休日
不定休

■アクセス
小田急線・京王井の頭線 下北沢駅 徒歩6分

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