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武蔵小杉を見つめて40余年。古き良き居酒屋「潮来」

南北に走る東急東横線・目黒線と、東西に走るJR南武線が十字に交差する武蔵小杉駅周辺。古くからの住宅地や繁華街が残る一方で、大規模な再開発事業が進行し高層ビルが建ち並んでいます。最近ではDINKsやファミリー層が増え、住みたい街ランキングの上位に入る勢い。今月は、そんな武蔵小杉から昔ながらの居酒屋をご紹介します。

受け継がれる変わらぬ味と銘酒に舌鼓
地元に根付く古き良き日本の居酒屋
武蔵小杉「潮来」

武蔵小杉といえば、首都圏で最も人口が増加し、街の雰囲気もガラリと変貌を遂げました。しかし、その再開発エリアを一歩出ると細い路地があり、風情ある懐かしい“コスギ”を感じられる場所が今も残っています。今回訪れたのは、駅から新丸子方面に5分程歩いた場所に位置する居酒屋「潮来(いたこ)」。年季の入った看板やのれんを見ると、この地に古くから根付いていたことがわかります。大将の狩谷茂男さんによると、地元である茨城を後にし、元住吉での営業を経て武蔵小杉で今日まで営業。奥さまの一枝さんと2人3脚で、今年開店42年を迎えたそう。
「街と人の移り変わりを目と肌で感じてきましたよ」
そう語る狩谷さんですが、不思議と寂しさは感じません。
「新しい人たちが入ってきて新しい空気を入れてくれることは、決して悪いことばかりではないと思います。女性のお客さまも増えたしね(笑)。それに、以前勤務地が武蔵小杉だった昔からのお客さまは今でも足を運んでくださいますから」

新興店に負けず、今もなお常連客が足しげく通うのは、開店当初から貫いている焼き鳥の秘伝のタレと、こだわりの料理があるから。
「焼き鳥のタレは、少し甘めなんです。塩もやっているけれど、タレにはまってしまうお客さまが圧倒的に多いですね。あとは“なすみそ”もよく出ます。北海道や信州など3種をブレンドしたみそを使っているので、ただ麹と塩っ気というだけでなく、味に深みを出してくれるんです」
ここで、お店を推薦した編集部員が「もつ焼きも最高なんです! 味も歯ごたえも言うことなし」と。それもそのはず、豚もつは、厚木の某有名店と同じものを使用しているとか。
「居酒屋だからといって適当なものは出せませんよね。少しずつこだわっていくうちに良い素材が手に入るようになり、メニューも増えていった具合です。今では100近くあるんじゃあないかな(笑)」

料理の話を伺いながら店内を見渡していると、私・ライターの酒レーダーがあるボトルを感知。焼酎がまとめて置いてあるカウンター脇に、なんと滅多にお目にかかることのできないいも焼酎“赤霧島”と“茜霧島”を発見! 失礼に聞こえたかもしれませんが、「なぜ、ここに!?」
「お取り引きしている酒屋さんに恵まれたんですねぇ。うちのお店の分として、入荷したら必ず取っておいてくれるんですよ。だから売り切れ時以外は普通にお出ししています。ここは居酒屋なのでね、気兼ねなくお酒を楽しんでほしいですから」

これから忘年会シーズンですが、冬のおすすめメニューを教えてください。
「冬はやっぱり温かい鍋料理がいいですね。新鮮な食材を仕入れているので、牡蠣鍋、石狩鍋、鱈ちり鍋、あんこう鍋ができますよ! 宴会用のコースもあるので、団体のお客さまも歓迎です」

実は大将、数年前から足を悪くしてしまい、今主に厨房に立っているのはご子息である茂一さん。学校を卒業してから店を手伝っているだけあり、2代目として立派に務めを果たしてくれているそう。
そんな家族で切り盛りしている「潮来」ですが、今後のお店の展望を伺ってみると、
「可もなく不可もなく、現状維持。今のお客さまは今のうちのスタイルを好んで来てくださっているので。これまで続けてきたように味を変えずに、自分たちのペースで、できる限りのサービスをしていくことでしょうか。そのためにも健康だけには気をつけないとですね!」

居酒屋 潮来

住所:神奈川県川崎市中原区新丸子町915
電話:044-733-6135
営業時間:17:00~23:30(L.O.22:30)
定休日:日曜、祝日
※座席数36席(カウンター含む)

編集後記
多摩川河川敷から臨む武蔵小杉の景色に圧倒されました。こんなにも高層ビルが建ち並んでいるなんて! そんな近代的な街にある、焼き鳥の煙が漂う居酒屋“潮来”。いろいろな時代が融合する街。それが、武蔵小杉の魅力だと思いました。

※ 2017年12月2日当時の情報です。訪店する際には、事前に確認の上でお出かけください。