■見て、触れて、実感する芸術
取材時に開催されていた「ファンタジック TARO展」には「触れられる展示」が多くあって、芸術はみんなのものだと捉えていた太郎さんの想いに則したもの。一見ただの通路と思しきところには太郎さんの手がけたプロダクトがあり、太陽の顔をモチーフとしたアイテムや各種グラス、メダルなどがずらりと展示されています。街中に数多くのパブリックアートがあり、普段何気なく歩いているすぐ近く、普段生活しているすぐ近くに作品があった……ということも珍しくない太郎作品ですが、それらを一箇所で観覧できる機会として、魅力のある展示でした。
その奥には「太郎さん好きは悶絶する」という、青山のアトリエで実際に使用されていた作業机があります。「殺すな」ジャケットを着た太郎さんの人形とともに御本人の音声が流れていて、小さなスペースでありながら非常に密度の高い空間なので、創作活動当時の姿を思い浮かべて目を閉じるのもいいかも知れません。
また、立体作品が並べられている大きな空間には、ダブルハンマーで打ち鳴らすCMで有名な「梵鐘・歓喜」が展示されています。もともとのでっかいものは、名古屋の久国寺にありますね。そして、こちらには銀座数寄屋橋にある「若い時計台」や青山にある「こどもの樹」なども展示されています。作品に触れることはできませんが、その造形を間近でつぶさに観察できるので、造形物が好きな方にはたまらない空間でしょう。恥ずかしながら、あらためて梵鐘をじっくり間近で見ることで、トゲトゲが太郎作品の人型が伸ばした「手」だと知ることができました。
館の外に目を向けると、そこにはシンボルタワー「母の塔」(全高30m)の威容が。二子新地にある母・かの子さんの文学碑「誇り」に向いて立っているこの像は、大きく、ふくよかで、大地にたくさんの根を張って存在しています。天に向かって両手をあげるのは子どもたちでしょうか? もちろんこちらも、根本から見上げて存分に堪能することが可能なパブリックアートとなっています。さらに、ミュージアムショップの前には日本全国から様々な情報を引き出せる「情報ブース」があるので、そちらも利用して日本全国にある岡本太郎の世界を存分に楽しみましょう。
■ミュージアムショップ
館内のショップでは、数多くの太郎作品を用いた商品を購入できます。フチ子さんシリーズの太陽の塔ガチャや、岡本太郎美術館限定のLAMY製品(ペンもケースも)のほか、オリジナルのギターピックも購入可能。これに穴を開けてイヤリングにされる方もいるそうなんです。こういった自分流を楽しむ方もいるあたり、ステキですよね!
■「はいはい&よちよち美術館ツアー」もおすすめ!
こちらでは、定期的に様々なイベントを開催しています。「はいはい&よちよち美術館ツアー」も人気のあるツアーで、小さなお子さんの美術館デビューにうってつけ。太郎作品の多くは原色を使っている場合が多いことから、色を見分けられない赤ちゃんでも作品の色を見ることができるのです。また、岡本太郎美術館には「坐ることを拒否する椅子」などの触れる展示物があるので、世代を問わず家族みんなで楽しむことが可能となっています。そのため「我が子の美術館デビューを岡本太郎美術館で」という親御さんも多いのだとか。このツアーは夏と冬をのぞいて月に一度開催されているので、観覧を希望される方は、公式HPの「イベント情報」をご確認ください。
■スポットデータ
【住所】 | 神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5 生田緑地内 |
【電話】 | 044-900-9898 / FAX 044-900-9966 |
【営業時間】 | 9:30~17:00(入館は16:30まで) |
【定休】 | 月曜(祝日をのぞく)、祝日の翌日(土・日をのぞく) 年末年始 ※ 臨時休館日あり。 |
【観覧料】 | 展覧会ごとに異なります。詳しくは公式HPをご覧ください。 ※ 中学生以下無料。 ※ 団体割引あり。 ※ 各種割引制度あり。 |
【HP】 | 川崎市岡本太郎美術館 |
※ お子様連れ歓迎。
■バスでの行き方はこちら
【向ケ丘遊園】 | 南口から「溝19」「た83」などを利用して、「生田緑地入口」で下車。 生田緑地東口ビジターセンターの横を通って美術館へ。 |
【溝の口】 | 「溝口駅南口」バス停から「溝19」の「向ヶ丘遊園駅南口行」バスに乗って、「生田緑地入口」へ。生田緑地東口ビジターセンターの横を通って美術館へ。 ※ 溝の口駅では「南口改札」を出るとスムーズです。 |
【たまプラーザ】 | たまプラーザ駅北口バスターミナル(地下)2番乗り場から、「た83」の「向ケ丘遊園駅南口行」に乗って、「生田緑地入口」下車。 生田緑地東口ビジターセンターの横を通って美術館へ。 |
【梶が谷】 | 梶が谷駅の北にあるバスターミナルの1番乗り場から、「向01」の「向ケ丘遊園駅南口行」に乗って、「飯室」下車。 生田緑地東口ビジターセンターの横を通って美術館へ。 |
※ このほか、生田緑地西口サテライトからのルートもあります。
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爪に火をともすように、人生を転がり落ちてきたモホークカメライター。
グルメやサブカル全般、格闘技関係の情報収集に情熱を燃やし、朝から食べ物の写真を見ながらニタニタ笑っている変態でもある。
見た目はキワモノイロモノだが、中身は捨てられた子犬のように繊細。
なお、体の80%はラーメンでできています。