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川崎市民の台所「川崎市中央卸売市場北部市場」

川崎市中央卸売市場北部市場_外観

プロの戦場、中央卸売市場。
そこは「普段お目にかかれない掘り出し物」や「一般では買えないものが見つかる」食のワンダーランド――
「川崎市中央卸売市場北部市場」は、そんなスポットです。

■食に関するほとんどが集う「北部市場」とは?

川崎市宮前区水沢1-1-1にある「川崎市中央卸売市場北部市場」は、私達の生活にとってなくてはならない存在です。その歴史は古く、現在の住所に移って開場したのが昭和57年。さかのぼれば、昭和19年に今の南部市場の場所へ開設された「市営卸売場」に端を発します。人口増加・需要増加によって大型の市場を開設する必要が出てきたため、数十年という計画のもとで「川崎市中央卸売市場北部市場」(以下、北部市場)は生まれました。

「卸売業者」が「仲卸業者」に物品を売る卸売市場には、「中央卸売市場」と「地方卸売市場」の2種類があり、中央市場の認可・監督は農林水産大臣、地方市場は都道府県知事が認可・監督しています。中央卸売市場である北部市場には野菜や果物を扱う「青果部」、魚介類を扱う「水産物部」、園芸植物を扱う「花き部」、食品関係物品を扱う「関連事業」があって、中でも後述する水産仲卸協同組合では、近年「発酵熟成熟鮮魚」という新しい取り組みにも挑んでいます。

■水産物部の朝は早い

市場と言えば早朝のイメージですが、イメージよりもっと早く、その本格稼働は私達が寝ている間。水産物であれば2時、3時、4時頃に品物が並んで、品物により明け方には「せり(競売)」がスタート。仲卸の方が買っていきます。せりに参加できるのは認可を受けた仲卸業者か売買参加者だけなので、一般の方は参加できません。飲食店やスーパーなどの「買出人」がこの仲卸業者から購入した品物を、私達消費者が口にしているのです。

そんな市場に並んでいるのは、クロムツ、イトヨリダイ、太刀魚、ホウセキハタ、クリガニ、タイラギなど色とりどり。中には「フルーツ魚」のみかん鯖もあって、買出人ならずとも気持ちが昂ぶります。

■青果部の朝も早い

青果部も同様に朝はとても早く、私達が出かける頃にはすでにあらかたの売買は終了しています。三浦大根などの神奈川県広域から集められる野菜に加えて川崎市内で栽培されている農産物「かわさきそだち」もあり、非常に幅の広いラインナップを揃える部門です。

■花き、関連事業者の朝ももちろん早い

結局のところ市場なので、すべての部門で朝は早いのです。花き(花卉)棟には中古車や競走馬のオークション会場にも似たひな壇があって、こちらのせりも早朝には終了。月水金曜が切り花、火木曜で鉢物を扱い、街の花屋さんなどが競り落としていくそう。「食」に関するアイテムを取り扱う関連商品売場棟も、昼にはすっかりシャッターが降りています。この「関連商品売場棟」の中には様々な店舗があって、食に興味のある方ならば歩くだけで楽しくなるでしょう。

「スルガ商事」さんもその一つで、先代から付き合いのある焼津や蒲原の業者から鰹節を仕入れています。お客さんは水産・青果棟などに仕入れに来た料理人中心ですが、一般の方も100g単位で鰹節を買いに来るのだとか。鰹節は削った瞬間から風味・薫りがどんどん飛んでいってしまうため、窒素ガスを封入したオリジナル商品を提供しています。また川崎市の小学校(給食センター)へ商品を納入もしており、夏休みには同社の森岡信和さんが食育講座の講師へ行くなど、地域活動も精力的に行っています。

土曜日や年末に数多くの人が訪れる「マツモトミート」(北部マツモトミート)さんは、関連商品売場棟の中でも高い人気を誇る店舗。量り売りにも対応している黒毛和牛A5ランク肉の販売店ですが、中でも自社製造のオリジナル商品「手造り焼豚」は年末ともなると1日1t(1000kg)もの量を売り切ってしまうというから驚きです。国産黒毛和牛の量り売りは珍しいので、肉好きな方は気軽に足を運んでみては?

次のページでは、発酵熟成熟鮮魚にも触れてご紹介します!