東急田園都市線の池尻大橋駅そばに2020年4月、新しいクラフトビール専門店「CRAFT BEER SCISSORS(クラフトビールシザース)池尻大橋」がオープンした。
こちらのお店の特長は、生のクラフトビールの提供以外に、店内にズラリと並ぶ冷蔵庫に置かれた国内外約130種類のクラフトビールを購入したら、そのまま店内で飲むことができる「角打ち」と呼ばれるスタイルを採用している点にある。
「海外のオシャレなカフェをイメージした」というステキなお店のオーナーである、森川達功氏に開店までの経緯とオープンから約半年が経った現在の状況についてお話を伺った。
美容師とクラフトビール
——クラフトビールとの出会いを教えてください
もともと僕は美容師をやってまして、仕事終わりにたまたま入ったお店で川崎のクラフトビールを飲んでそこからハマった感じですね。ゆっくりと味を堪能する感じがいいですよね。一杯の満足度が違うと思いました。
——元美容師なんですか?いまも現役の美容師ですか?
いまも現役の美容師ですね。外苑前で共同経営のお店をやっています。
こちらのクラフトビールのお店は3人体制でやっていて、ぼくは美容室が休みの日に入ったり、午前中は美容師の仕事をして、午後からこちらで働いたりとか、そういう感じです。
——クラフトビールのお店を開くまではどのような流れになるのですか?
美容師の仕事とは別で飲食店をやりたい、という夢が自分の中にありました。それである時にクラフトビールの内装を多く手掛けているデザイナーと知り合う機会があって、自分の中でクラフトビールが特別なものとして記憶されていたので、飲食店をやりたい、という想いとクラフトビールがそこで交わって、クラフトビールのお店をやろうとなりました。
——そこからはスムーズに開店まで行きましたか?
決めてから1年ぐらいかかりましたね。物件探しがけっこう難航しました。東急田園都市線に住んでいるので、沿線にしようと思って、用賀とか駒沢大学もいいな、とか色々と見て回りました。予算と立地を基準に色々と検討した結果、この池尻大橋駅徒歩2分のビルの地下という場所になりました。
——どんなお店にしようと思いましたか?
クラフトビールが飲めるお店でありつつ、同時にクラフトビール専門の酒屋にしようと思いました。そのためにお酒を販売をする免許も取得しました。同時に取り入れようと思ったのが、酒屋で買ったものをその場で飲める「角打ち」というスタイルでした。
——オープンまでの1年で他にやったことはありますか?
田園都市線沿線を中心にけっこう都内のクラフトビールのお店に行きましたね。地方にも行きました。その中で感じたのは「なんでも自分できるんだ」ということでした。
東北のクラフトビール店に行った時に店内のものを色々と自作していて、店主と話した際に「けっこう自分でできるよ」と教えてもらったのですが、そういう自分でやってみる、DIY(Do It Yoreself)の精神がクラフトビールの背景にはあって、その姿勢を学びましたね。
クラフトビールのテイクアウトで自粛期間を乗り切る
——2020年の4月にオープンしましたが、状況的にはいかがでしたか?
緊急事態宣言が出た時期であり、不安はありました。一方で救いだったのは、うちがクラフトビールを飲むだけでなく、販売もしていることでした。
——店内の冷蔵庫にはかなりクラフトビールが揃っていますが、どれぐらいありますか?
いまは国内外で120~130種類ぐらいですね。自分が飲んだことがあるものやクラフトビールの評価サイトなどを見ながら専門の問屋に注文したり、この蔵元が作っているなら絶対美味しいから飲んでみたい、とか色々な基準で決めていますね。
——生ビールのテイクアウトもしているんですよね
「グラウラー」と呼ばれる専門容器があり、それを使うと生ビールの持ち帰りができるんです。この「グラウラー」はクラフトビールが盛んなアメリカでは文化として定着しているのですが、日本では流行らないと言われていました。それが、この自粛期間中にクラフトビールを飲みたい、という人が存在を知って、かなり広がった印象ですね。うちではレンタルも販売もやっています。
——テイクアウトのお客さんは多かったですか?
そうですね。特に自粛期間中はテイクアウトの人がけっこう来てくれました。
お店をやって感じたのですが、クラフトビールファンというのは一定数存在していて、その方たちが「池尻大橋にクラフトビールをテイクアウトできるお店ができたぞ」とうちに来てくださっている感じです。テイクアウトであれば車で来て持ち帰ることもできるので。
——生ビールは持ち帰ってどれぐらい持つものですか?
購入した日に飲み切るぐらいが良いですね。利用される方は今日はパーティーがあるから、など何人か集まる時に購入される方が多いですね。
クラフトビールとの出会いを増やしていきたい
——お店がオープンして約半年が経ちました。現在の状況はいかがですか?
少しずつ確実にお客さんが増えている感じですね。けっこう「池尻にこういうお店が欲しかったんだよ」と言われます。地元の人に喜んでもらえるのは嬉しいですね。
——キャッシュオン(一杯ごとにお金を払う)でテーブルチャージが無いから気軽に来れる感じですよね
そうですね。だから1日に3回、4回と来てくださる方もいます。1杯だけ飲んで移動して、また後で来て、みたいな使い方をされているみたいですね。サッと来て飲んでいくみたいな。ありがたいですね。角打ちの場合は開栓料金としてプラス100円かかりますが、それでもこれだけ種類があるので、みなさん楽しんで選んでくださっています
——いま生ビールの種類はだいたい10種類あって順次入れ替わっていく感じですか?
そうですね。常に次に出すものを用意しておいて、 ストックが終わったら入れ替える感じです。
——いつも同じものを提供して、あれを飲みに来た、というファンを増やす方法もあると思いますが、なぜ入れ替えるのですか?
クラフトビールは個性的なのが特長です。その中で自分が好きなビールとの出会いがあると思います。いまはクラフトビールファンが多く来てくださっていますが、自分としては「この店でクラフトビールの美味しさを知りました」という人が一人でも増えて欲しいと思っています。その思いからビールを固定するよりも入れ替えて、色々なビールを提供するというスタイルにしています。
地下にある落ち着いた店内で、クラフトビールを手軽に楽しめる「クラフトビールシザース池尻大橋」。あなたもお気に入りの一杯との出会いがきっとあるはず。ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。
CRAFT BEER SCISSORS(クラフトビールシザース) 池尻大橋
■住所
東京都世田谷区池尻2-30 12OSビル B1F
■電話番号
03-6770-8144
■営業時間
15時~23時30分(金、土・祝前日は27時まで)
■定休日
無休
■URL
https://beerscissors.wixsite.com/2020
■アクセス
東急田園都市線 池尻大橋駅徒歩2分
世田谷クラフトビール巡り
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1978年生まれの編集者。世田谷区用賀在住。子どもは長男(7歳)、次男(4歳)の二人。歴史と散歩と釣りが好き。最近は子どもと多摩川で釣りをしたり、プロレスの歴史を調べることにハマっている。