「明日が結婚式なんです!」 「子どもが幼稚園に入りました」
そんな「普通は聞けない話をしてくれるのが嬉しい!」と、いつも笑顔。
地域密着型店の「Ripple」さんはそんなお店です。
■無添加焼きたてパンの店 Ripple(リップル)とは?
リップルは、「無添加で、安心して食べられるパン」が特徴のお店。店名の「リップル」は波紋の意味で、人の輪が広がっていくイメージを元に名付けられました。闇雲に品数を増やすのではなく、「家族とやれる範囲でお客さんとの付き合いを広げていきたい」という想いがこもっており、地域に根差し、地域に密着して続けていくことを目指しています。そのコンセプトは、特徴そのものでもある「無添加で、毎日安心して食べられるパン作り」。子どもでも、年輩の方でも、病気の方でも安心して食べられる――そんなパン作りを心がけています。
■「リップル」の誕生は家族みんなの力
ご近所さんだけでなく、評判を聞いたパンマニアさんも多く訪れるリップルは、店長の濱田加奈子さんとシェフの濱田薫さんのご夫婦、そして娘さんで営んでいます。SNSの草分け的企業で12年間勤めた濱田加奈子さんは、「何か自分でやれることはないかなー」と考えている内に、いつの間にか「お店をやりたい」と考えるようになったそう。様々な業態を考えましたが、パンの師匠との出逢いがパン作りへの道を拓きました。
「無添加のパンはおいしくない」という先入観を持っていた加奈子さんでしたが、その「師匠」は無添加パンのパイオニア。岡山県にある「おかやま工房」へ足を運んで実際に食べてみたところ、昔ながらの柔らかい口当たりのパンが好きだった自分の好みとマッチしたのだとか。まずは「本当に続けられるものなのかどうかを知るために」自分が行き、その後に当時大学生だった娘さんに「ウチでバイトして」と送り出し、そして、当時まだフレンチのコックとして働いていたご主人の濱田薫さんが修行に行きました。上野精養軒やプレジデントホテル、東急ホテルなどで40年ほど腕を磨いた薫さんだからこそ、現実的に経営していけると分かるまでは勤め先を辞められなかったし、パン作りはこれまで培ってきた調理と別物なので、ご家族には大きな覚悟と決断が必要だったことでしょう。
■できるところまで手作り、極力無添加
使用する小麦は、北海道産の国産小麦100%。お砂糖と塩とマーガリンやショートニング、生のイースト菌を使用。パンの生地によっては卵と牛乳を使っています。パンの生地にはそれ以外のものを使っていません。フィリングも極力無添加で、極力手作り。クリームパンのクリームも無添加で手作りしています。コロッケもヒレカツも全部店内で作っているため、冷凍食品などは一切未使用です。
「たとえば乳化剤を使うと発酵は一定するし保存も長持ち、いつまでも柔らか。でも無添加であるために、ウチでは一切使用していません」と加奈子さん。その代わりにパンが早く硬くなってしまうため、「できれば当日中に食べてください」とのことでした。とは言え「残りは明日の朝に食べようかな」なんてことはよくあることで、そんな場合は、パンの種類によってオーブンで暖めたり電子レンジで暖めたりする必要が出てくるでしょう。
フォンダンショコラだったら電子レンジで30秒チンすれば中からチョコクリームがトロリ……カレーパンだったら電子レンジに30秒入れた後にオーブントースターで30秒間表面を暖める――
実はそんな知恵は、足繁く通う常連さんの言葉なのだとか。加奈子さんは、「おいしく食べる技術はお客さんの方が研究していますね(笑)」とほがらかに笑っていました。
次のページでは、ブレーメン通りの人たちが愛するパンをご紹介します!
爪に火をともすように、人生を転がり落ちてきたモホークカメライター。
グルメやサブカル全般、格闘技関係の情報収集に情熱を燃やし、朝から食べ物の写真を見ながらニタニタ笑っている変態でもある。
見た目はキワモノイロモノだが、中身は捨てられた子犬のように繊細。
なお、体の80%はラーメンでできています。