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修行先は有名店! 熟鮮魚(熟成魚)を味わうなら「鮨あらい」

■握りと海鮮丼の実食!

三貫握り(800円)

イカ・サーモン・カンパチの、熟鮮魚三貫握り。シャリがホロリとくずれます。今回のカンパチは背中の部位だったため、ナッツやミルクとも表現される熟成香はやや控えめ。ただしサーモンのような脂の多い魚はかなり熟成の風味が強く出て、鮮魚と比べるとまったく違った深みを楽しめます。中でも特筆すべきはイカの熟鮮魚! 新鮮なイカってねっとりしているものですが、そのはるか上をいく強烈な食感が襲いかかってきます。もう噛んでも噛んでも口の中からなくならない。従業員の方は「アメリカのチューイングガム」と表していました。新井さん自身「失敗作かと思った」と言ってしまうこのイカは、実際にはかなり評判がよかったそう。2019年3月の時点では、鮨あらいさんだけでしか食べられないものとなっています。なお季節・仕入れで内容は変動、イカは基本メニュー。事前に何があるのか電話で聞いておくのがベターです。

寿司屋の海鮮丼(お椀付き1,500円、仕入れで内容は変動)

イカ、サーモン、カンパチ、エビ、大トロ、赤身、寒ブリ、アジ、イクラなどが入った、お寿司屋さんの海鮮丼。こちらの中には熟鮮魚三貫握りで使ったネタの鮮魚バージョンが使われているため、熟鮮魚三貫握りとセットで食べ比べの注文をされる方も多いのだとか。白身魚やマグロは常時あって、何を入れるかはお客さんの好みなどから判断。種類や味が似通ってしまわないように気を付けて提供しているとのことでした。

今回のお椀は、青さなどが入ったブリのアラ汁。とてもいい出汁が出ていました。その日その時にある魚のアラを使っているので、どんな汁物になるかは仕入れによります。時期とタイミングが合えば、「先着5名様限定フグのアラ汁」なども出しているそうなので、気になる方は聞いてみてください。

■魚を扱うプロ+魚を調理するプロ

元々北部市場で卸売として働いていた人の寿司店だから、魚に対する情熱は人一倍。市場で魚を買うことの醍醐味は、「実際に話して自分で魚を触って、値段も話次第で勝負できる」ことだと言います。魚のプロが有名店で修行して、寿司のプロとして活躍する「鮨あらい」。市場ならではのリーズナブルな価格設定も相まって、市場メシ巡りの際にはぜひ訪れたいお店です。

■店舗データ

【住所】 神奈川県川崎市宮前区水沢1-1-1 川崎市中央卸売北部市場内3階食堂街
【電話】 044-975-2858
【営業時間】 7:00~14:00(閉店時間は目安)
【定休日】 日曜日・水曜日(他、市場のカレンダーに準ずる)
【HP】 https://peraichi.com/landing_pages/view/sushi-arai
【HP(北部市場)】 http://ichibadeokaimono.jp/

※ 夜営業は予約対応、平日OKで10人~
※ 新年会、忘年会も対応。
※ 握り寿司での発酵熟成熟鮮魚と鮮魚の食べ比べもOK。

■バスでの行き方はこちら

【宮前平駅】
宮04、宮05、生01は、時間によって1番/4番乗り場に変動します。
「宮04」の「鷲ヶ峰営業所前行」に乗車して、「北部市場前」バス停降車。ただしやや本数が少なめです。
「生01」の「生田駅行」や、「宮05」の「聖マリアンナ医科大学前行」に乗車して、「清水台」バス停で降車。バス路線沿いに西へ8分ほど歩き、北部市場北門から入場します。(「清水台」は溝の口駅からのバス路線もある、本数の多いバス停です)
【たまプラーザ駅】 地下にある3番バス乗り場から、「た41」の「虹が丘営業所行」に乗車、「平津三叉路」バス停で降車して住宅街と公園を抜け、徒歩10分で北部市場南門に到着します。本数はかなり多めですが、徒歩での時間も考慮しましょう。
【あざみ野駅】 「向11」の「向ケ丘遊園駅行」に乗車して、「南水沢」バス停で降車。南門まで徒歩1分という近さです。

■「発酵熟成熟鮮魚とは?」アンサー編

「発酵熟成熟鮮魚」を作るために必要な、エイジングシート。その商品は、明治大学と株式会社ミートエポックが共同開発して世に生み出しました。スタートは肉用でしたが、川崎北部市場水産仲卸共同組合と同社が川崎北部市場発のブランドとして、2018年に展開しています。その最大の特徴は「食べ物に巻くだけで、熟成を進めつつも鮮度をキープする」というもの。保存温度は4℃、つまり「冷凍する必要がない」ということになります。

たとえばイカをエイジングシートに包んで4℃で冷蔵すると、19日経過する間にシートの表面にケカビが生えてもふもふになってしまいます。でもこれ、内側にはケカビが生えていません。もちろん中身は生のイカ。冷凍しなくても腐敗することなく、発酵して熟成がすすみ、旨味が凝縮されるのです。取り扱いのある仲卸では、湿度が非常に高い冷蔵庫を使って熟成期間を縮めているとのこと。今後様々な条件が試されて、広がっていくと考えられます。

「魚に限らず部位による旨味の差違がない」(新井さん)らしく、均一に旨味が。ただ脂身だけは大きな変化が生まれるので、脂ののった魚なら風味を存分に味わえるでしょう。コストは冷蔵保存する日数とエイジングシート代くらいのもの。通常の熟成だとかなりの部分を切除しないといけませんが、エイジングシートだと薄く2mm程度削ぐだけ。魚に関してだと、元々鮮魚でも頭や鱗や皮の部分は捨ててしまうので、ほとんどロスがないそうです。

※ エイジングシートに特定のカビの胞子を付着させて、発酵を促進。通常の熟成品と違い、不要なカビが発生しない。

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