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2品の和菓子を洗足池・長原の銘菓に「wagashi asobi」

洗足池駅の改札を出ると、目の前には都内屈指の広さを有する洗足池が水を湛えています。池の周囲は桜やあじさいをはじめとしたお花見スポットでもあり、地元の方の憩いの場所になっているようです。
また勝海舟夫妻の墓、西郷隆盛留魂碑、源頼朝の愛馬の像などもあり、歴史の深さも感じられます。
長原駅前の商店街は、アットホームながらも存在感のあるお店が軒を並べています。その中から新感覚の和菓子店をご紹介!

自由な発想で丁寧に作り出される
2品の和菓子が話題!
長原「wagashi asobi」

今回ご紹介するのは長原駅から徒歩1分、「wagashi asobi」。2人の和菓子職人、稲葉基大さんと浅野理生さんによる和菓子店です。商店街をちょっとはずれた小さな洋風の一軒家がアトリエ兼店舗。店頭にはらくがんの木型が並べられ、商品が並んでいる台はアンティークのミシン…、和菓子店とはイメージの違うヨーロッパのかわいい雑貨店のような雰囲気です。「元々ここは僕がよく来ていたカフェで、オーナーがお店をたたむと聞いて、この大好きなスペースを残したい!と思って、この場所を引き継ぐことにしました」
お店に置く商品は2人のそれぞれの自信作「ハーブのらくがん」と「ドライフルーツの羊羹」の2品だけ。「僕が羊羹、浅野がらくがん、とイメージされることが多いのですが、実際は逆です。らくがんにハーブを入れることを思いついたのは、僕が老舗和菓子店のN.Y.支店で修行をしていた時です。グリルドチキンに添えられているローズマリーがとても美味しくて、和菓子に取り入れられないかと、草もちにしてみたり、羊羹にしてみたりした中で、一番美味しくできたのがらくがんでした」その後、ハーブ以外にもフルーツや抹茶などバリエーションが増えていき、季節や稲葉さんのアイデアで店頭に並ぶ種類が変わります。「今のおすすめは烏龍茶と梅です。烏龍茶は先日僕が台湾に行って出合った凍頂烏龍茶を取り入れてみました。らくがんに合うおいしい素材に出会ったら、その都度新しい種類が増えていきます」

浅野さんによる「ドライフルーツの羊羹」は、いちじく、くるみとラム酒に漬けたイチゴのドライフルーツ入り。それぞれの素材が浮き出る断面がアート作品のように美しい羊羹です。「パン作りが好きな友人とのイベントで、パンに合う和菓子を、というリクエストから完成したのがこの羊羹です。パンにチーズやクリームを塗って、その上に薄く切った羊羹をのせて食べるイメージです」一口食べるとラム酒の香りと黒砂糖のコクのある甘みが口の中にふわ~と広がります。ワインやシャンパンにも合うので、外国の方にも人気があるとか。 
お店にこの2品しか置かない理由は「地元の銘菓を作りたい」という気持ちから。「以前は百貨店などでも販売していたのですが、今はほんの一部の店舗のみ。遠くまでおみやげを持って行ったのに、ここでも買えるわ、なんて言われたらがっかりしますよね。この土地に住んでいる人が自慢できる手土産として、ずっとかわいがってもらえたらという想いで、この2品に集中しています。おかげさまでドライフルーツの羊羹は、大田区「おおたの逸品」、経済産業省「The Wonder 500™」にも認定されました」

稲葉さんが生まれ育ったのはここ洗足池周辺。抹茶味のらくがんのお茶は、幼馴染のお茶屋さんが手配をしてくれているそうです。商店街や近所には昔からの知り合いが住み、今でも交流があるなど、稲葉さんにとって、とても居心地の良い場所です。
「東急沿線の街は再開発が進んでいるエリアもありますが、このあたりは僕が子どもの頃からほとんど変わっていなくて、昭和の古き良き雰囲気が残っています。先日パリのメディアの取材があって、お店周辺を案内したのですが、ここは東京?と驚いていました。ここは東京というより日本だよ、と返したら納得してましたけど(笑)」
有名ブランドやアーティストとのコラボやイベント参加など、和菓子を介した創作活動も多い2人、wagashi asobiとしての今後の展開を伺うと、
「現状維持です!お店も品数も増やすことなく、時々楽しい企画に参加させてもらいながら、このままこの場所で2つの和菓子を作り続けるのが理想です。和菓子というのは昔から誰かを思いやり、人を喜ばせるおもてなしとして使われてきました。私たちもそんな想いをこめて、和菓子を作り続けていきたいと思います」
変わらぬ味で地元の人に愛される和菓子店。ずっとこのままの雰囲気でこの場所にいてほしい、この土地の住民でなくても思ってしまう、そんな素敵なお店です。

wagashi asobi(ワガシアソビ)

住所:東京都大田区上池台1-31-1-101
電話番号:03-3748-3539
営業時間:10:00~17:00
定休日:不定休
HP:http://wagashi-asobi.com/

編集後記
和と洋がほどよく溶けあったドライフルーツの羊羹は、ワインにも合う絶品! 自宅で、wagashi asobiの稲葉さん、浅野さんの言葉を思い返しながら、じっくりと味わいました。

※ 2018年7月7日当時の情報です。お出かけの際には事前にご確認ください。

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溝の口の甘味処「おはぎ専門店 ももすず」

東急田園都市線に東急大井町線が乗り入れ、JR南武線が交差する溝口。この地名ですが、「溝口」「溝の口」「溝ノ口」と様々な言い方があるのを常々不思議に思っていました。調べたところ、行政地名は「溝口」。JR南武線の駅名は「武蔵溝ノ口」。これは、駅を開設する際「溝口」にする予定でしたが、すでに他の駅で使用されていたため「武蔵溝ノ口」にしたそう。東急線の駅名は「溝ノ口」でしたが、1960年代に東急線の駅名について「ノ」や「ヶ」をひらがなに変更したため、「溝の口」になったようです。お店の名前や看板など、様々な「みぞのくち」を探してみるのも面白いかもしれません。

弥生時代の集落跡地を利用して造られた県立東高根森林公園、江戸時代には大山阿夫利神社への参詣ルートとして、また五街道の一つ東海道の重要な脇街道として、大きな意味をもっていた「大山街道」など、文化史跡も多く存在します。溝の口駅正面口を出ると、立ち並ぶ駅ビルが飛び込んできて、豊かな文化史跡と華やかなショッピングタウンが共存している街といえそうです。今月は、そんな溝の口から庶民の和食文化を発信するお店をご紹介します!

手作りおはぎと店主の笑顔に引き寄せられる 
世界に羽ばたく、幸せあふれるおはぎのお店
溝の口「おはぎ専門店 ももすず」

「日本一おいしいおはぎやさんへようこそ」
そう優しい笑顔で出迎えてくれたのは、店主の百瀬江子(ももせきみこ)さん。
なんと御歳82歳。背筋が伸び、手際よく厨房を切り盛りする様は、なんとも若々しい!
「もともとは趣味でおはぎを手作りしていたんです。手土産にもちょうどよく、みなさんに食べていただいていたら、“こんなおいしいおはぎは食べたことがない!”ととても喜んでくださって。日本の食文化であり、母との思い出の味でもあるおはぎを広く知ってもらいたいと思い、67歳のときに地元の長野でおはぎ専門店を開きました」
19年前に夫を亡くしてから、周囲の方々にとても支えられたと言います。その恩返しとして、この味をその方々たちに継承し、今では長野に3店、2016年1月に溝の口、今年6月に北海道に出店したそう。

バイタリティにあふれている百瀬さん。このエネルギーはどこから沸いてくるのでしょう。
「まだ長野にいた頃、町のイベントで世界的ジャズベーシストの方と出会ったんです。彼の奏でる音色は本当に魅力的ですばらしい。聞いているだけで幸せな気持ちにさせてくれるの。私の残された人生を、明るく華やかに導いてくれたこの方とのご縁を大切にしながら毎日を過ごしていますからね」
目尻を細めて少女のような微笑みで話す百瀬さんは、とてもキラキラして見えます。現に、百瀬さんの元気パワーとハッピーオーラ目当てで、お店に足を運ぶ人もいるとか。まさに、溝の口のパワースポット!

そこへ「おまちどおさま」とおはぎが登場。
「まずは召し上がってみて」とカウンター越しから出てきたのは、定番の「あん」。ひと口いただいてみると、中のおもちの柔らかさにびっくり。お米の粒感はあるのに、ふんわりとした食感。あんは上品な甘さで、後味はさっぱり。こんなに軽やかに食べられるおはぎは初めて!
「甘みを控えめにすると素材の味が引き立つの。これだと甘いものが苦手という人もペロリと食べられるんですよ。お米やお豆の炊き方は、試行錯誤しながら今の食感にたどり着きました。硬い和菓子はおいしくないでしょ。なるべく作りたてを食べてほしいので、添加物は一切使いません」
最近は若い方や男性も足を運んでくれるようになったそうで、「紫いも」「ずんだ」「麦こがし」が人気とか。
メニューを見ると、おはぎは全部で16種類。カラフルかつバラエティに富んだ味がラインアップされています。すると、それらが詰まった箱を見せてくれ、「これは、私の作った味がすべてつまった“幸せの玉手箱”。目でも舌でも心でも幸せを感じてほしくて名づけました。あ、あと私の幸せのおすそわけ、という意味も込めて(笑)」と、おもたせにぴったりのセットを紹介してくれました。

そんな公私共に充実している百瀬さんに今後の目標を伺ってみると、
「今、フランチャイズでお店を増やしていて、国内に少しずつ私の味が広まっています。この自慢の味をもっともっと知ってほしいと思い、実は来年以降、海外進出に向けてプロジェクトが進んでいます。ほかにも、いつかは本を出版してみたいし……、んー、やりたいことは山ほど! 年齢を重ねるごとに欲張りになっているのかもしれないですね(笑)」

おはぎ専門店 ももすず

住所:神奈川県川崎市高津区下作延1-7-48 溝の口ガーデンレジデンス110号
電話番号:044-813-0255
営業時間:10:00~19:00 
定休日:水曜日
※ イートインスペースあり。時間によってランチもご提供しています。
Facebookにて、「ももすず通信」を配信中です!

編集後記

「ももすず」さんのおはぎは絶品でした。また食べに行きたい! と思うのは、おはぎのおいしさはもちろんですが、店主の百瀬さんの魅力的な人柄もあると思います。今回もステキな出会いがありました。

※ 2017年10月7日当時の情報です。お出かけの際には、お店のホームページなどをご確認ください。

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奥梶発どら焼き専門店「米倉商店」

どら焼きの皮を、1枚1枚ていねいに手焼きする姿。
それを小さな女の子が見つめ、1枚の絵に描いてプレゼントしてくれる。
「米倉商店」さんはそんなお店です。

■どら焼きで勝負する「米倉商店」とは?

2018年6月にオープンした「米倉商店」さんは、梶が谷駅から少し離れた「奥梶」と呼ばれるエリアでどら焼きを中心にスイーツを提供するお店。店主の米倉国利(よねくらくにとし)さんが、奥さんと一緒にお店を切り盛りしています。元々会社員だった米倉さんは、25年間勤めて「長く働いたからそろそろ好きなことをやろうかな」と考え退職。当初は和菓子全般をやろうと考えていたのですが、設備代や手間がかなりかかると分かり「どら焼きをやろう」と和菓子屋さんへ学びに行きました。「大福も好きだけど、どら焼きは日持ちがするし何より好きだったから」というのがその理由です。

店名の由来は、米倉さんの実家が過去に世田谷で駄菓子や食料品全般を扱う「米倉商店」というお店をやっていて、名前をそのまま引き継いだ形になります。結婚した当初から高津区に住んでいて、近いところ、慣れ親しんだところがいいと駅近くで物件を探しましたが見つからず、しかし「のんびり無理せずやって行こう」と現在の住所で店舗の営業を始めました。お客さんはご近所さん、それも比較的若い方が多く、お母さんに手を引かれた小さなお子さんの姿も。また、当webサイトのコンセプトと同じく「バスから店を見ていて気になっていた」という方も多く来店されるそうです。

■すべて手作りだから、心のふれ合いも生まれる

「お店をやっていて嬉しいのは、リピートしてくれるお客さんの存在です」と米倉さん。また、子どもが店内でどら焼きをモグモグ食べてくれるところを見ていると「作った甲斐があったなあ」と、とても嬉しいそう。米倉商店さんのどら焼きは大きめなのですが、小さなお子さんでもぺろりと食べてしまうのだとか。会社員時代はお客さんが実際に商品を使っているところを見ることはあまりありませんでしたが、この仕事ではすべてお店で手作りしているので、材料から生まれたどら焼きを美味しそうに食べているところまで見られるのです。

ある日、近所の女の子が、米倉さんがどら焼きを焼いているところをガラス越しにじっと見ていました。そしてそのしばらく後に、働いている姿を絵に描いて持ってきてくれたそうです。実際にその絵を拝見したところ、作り方などを事細かに聞かれた結果「図解・米倉商店のどら焼き製造法!」のような力作となっていました。これは本当に嬉しかったそうで、女の子にもらった絵は今でも大切にされています。

次のページでは、どら焼きなどの人気メニューをご紹介します!